最後の奇跡

空葉月 様

ライン

ぷらーんぷらーん
そういう形容詞が似合いそうな格好でその日メイが研究院に戻ってきた。
正しくは連行されたという。

「・・・・・で?何をやらかしたんです?」
扉越しにキールが聞く。
声色に呆れた様子があるのは仕方ないことだろう。
それに対して、メイの方は、「えへへ」と誤魔化し笑いを浮かべてる。
・・・・いつもの光景のようである。
「いや、彼女がした訳ではないのだが・・・・」
違っていることと言えば、間に自警団の青年を挟んでいることだろう。
「チンピラ風の男に絡まれていたので保護したんです。」
流石町の自警団。
折れ目正しく、礼儀正しい。
「絡まれ・・・」
珍しくキールに動揺の色が見れた。
女の子が絡まれてたといったらさすがに心配なのであろう。それが例えメイであっても・・・・・
「怪我はないか?」
明日は雪が降るぞ。
キールの気遣いの言葉に、メイは背筋に寒いものを覚えた。
『何か悪いものでも食べたのかな?・・・やっぱり昨日のサンマの味噌煮が駄目だったか・・・』
悪いものを食べさせた心当たりがあるらしい。そんな事を考えているメイを余所に話しは進められる。
「いえ・・・・保護したのは・・・・・」
大変言いにくそうに自警団の青年が言葉を続ける。
「チンピラの方なんです。」
・・・・はぁ?!
キールが聞き返したのも無理はない。
「だから・・・町でこの子にチンピラが絡んだんですが、その後めっためたにやらまして、見兼ねた自警団で保護したんです」
チンピラを(笑)
呆れるを通り越して、開いた口が塞がらない。
何処にチンピラをのして連行される女の子がいるというんだろう?
それとも異世界人ゆえの特殊さか?
そうではない気がするのは、キールの直感
メイを引き渡すと帰って自警団の青年は職務に戻け行った。

自室に戻り、さあ説教タイム。
この場合、無事で良かったと言うべきか?

「メイ!無謀にも程があるだろ。たまたま今回は相手がのされてくれたからいいものの。」
そういう問題でもない。
「や、自警団に捕まるなんて失態失態。今度は上手くやるね。」
だから!!そういう問題ではないんだってば!!
「違うだろ!」
キールの一喝。
これにはメイも押し黙った。
「心配・・・するだろ。」
かすれる声。
言って、キールはメイの頭を抱える。
「メイに何かあったかと思うとさ。」
キールの行動にメイが面食らっていたのは少しの間。
自分に回された腕を取り、か細い声で答える。
「うん。」
今日は奇跡が多い日。
キールは素直だし、メイは大人しい。
こういう日に最後の奇跡は起きるのかもしれない。
キールは腕の中の彼女を離さずに済むよう、最初の言葉を紡ぐ。
「メイ。俺はお前が・・・・・・」

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