・・・キールぅ・・・キー・・・・・・ルぅ・・・
泣き声とともに微かに聞こえる自分を呼ぶ声。
今日も本を読んでいて、ベットに入ったのが1時間くらい前。
やっと眠りに入ったところを泣き声に起こされたキールは・・・
・・・物凄く不機嫌だった。
(何だよ、こんな時間に)
いつまでも止まない泣き声にキールは仕方なく自室のドアを開けた。
そこには・・・枕を抱え、涙で顔をぐしゃぐしゃにしたメイが立っていた。
「・・・メイ? どうしたんだ」
問いかけてもメイからの返事はなかった。
(何時までもここに立たせとく訳にはいかないよな)
キールはメイの背中を軽く押し、部屋へ入れた。
キールは『眠れない時に』とアイシュが教えてくれたホットミルクをメイのために作った。
・・・何時もより少し甘めにして。
それをまだ枕を抱えて泣いているメイへ差し出す。
「ほら、これでも飲んで落ち着け」
メイはコクン、と頷きカップを受け取る。
カップの中が半分に減った頃、ようやく泣き止んだメイが口を開く。
「・・・遅くにごめん・・・」
「いや、それはいいんだ・・・でも、どうしたんだ?」
泣いていた訳を聞くとまた思い出したのか、メイの瞳に新しい涙が浮かぶ。
それでも口唇を噛み、涙を堪えたが・・・堪えきれずに涙が一筋零れる。
その姿があまりにも綺麗で・・・キールはメイを抱きしめた。
「泣くな、メイ。お前に泣かれるとオレは・・・どうしたらいいかわからなくなる」
メイの、手触りの良い枯葉色の髪をやさしく撫でながら、キールは呟く。
小さく聞こえていた泣き声が鼻を啜る音に変わった頃、メイはポツリ、ポツリ、と泣いていた訳を話し出した。
(・・・ホームシック、か。そうだよな、いきなりこっちに召喚されて・・・ホームシックにならないほうがおかしいよな)
そんな事を考えていると、少しずつメイの身体から力が抜けていく。
「メイ?」
「・・・キール、暖かいね・・・安心する・・・」
キールの胸に身体を預けて、メイは呟く。
「今夜はここで眠っていい? ・・・まだ一人になりたくないから」
そんなメイを見てキールは、ふっ、と優しく微笑む。
「いいよ、ベット使え。オレはソファで寝るから」
「・・・ごめんね・・・それと、ありがと」
俯きながら、そう言葉にするメイの頭を軽く叩き、キールはメイをベットへ入れた。
「気にするな。もう夜が明けるけど、今日は休日だからずっと寝てていいよ」
「うん・・・おやすみ、キール・・・」
「あぁ、おやすみ」
泣き疲れたのだろう、メイはベットに入って5分もしないうちに寝息をたてはじめた。
それを確認したキールもソファへ身を沈めた。
どのくらい経ったのだろう、再びキールの耳にメイの泣き声が聞こえてきた。
「? メイ?」
「・・・きっ・・・キールっ・・・・・・置いてっ・・・か・・・ないでっ・・・」
ベットの中で、小さな子供のように泣きじゃくるメイ。
「メイ、オレはここにいるから・・・」
そう言ってメイの髪を撫でる。
メイはぼんやりと視線を泳がせ・・・キールの姿を認める。そして抱きつく。
「う〜・・・」
「嫌な夢でも見たのか?」
返事の代わりに、コクン、と頷く。
「見ててやるから、もう少し休んだほうがいい」
今度は首が横に振られる。
「・・・隣に・・・いて・・・・・・お願い・・・」
「・・・わかったよ」
キールはメイを抱きしめたまま、ベットへと潜った。
キールの腕の中で、安心したように寝息をたてるメイ。
自分の腕の中の、柔らかくて、暖かくて、そして愛しい存在を確かめるようにキールはメイを抱きしめる。
キールは微笑んでいるように見えるメイの、額に、瞼に、頬に、そして口唇に自分の口唇を寄せる。
・・・何時しかキールも眠りの中へ落ちていった・・・
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