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午後の麗かな陽射しを背にうけながら、レオニスは自室で書類の整理をしていた。 コンコン、と遠慮がちなノックが響く。 「入れ」 入室の許可をして、再び書類に視線を戻したレオニスは、入ってきた少女にぎょっとした。レオニスはノックの仕方で大方の来客が分かる。具合の悪そうな、控えめの音はてっきりシルフィスだと思っていたのだが。 「メイ…」 「えへへ。こんにちは、隊長さん」 いつもどおりの元気の良さそうな笑顔を浮かべたメイ。だか、レオニスは微かな違和感を覚えた。 「あのね、隊長さんに聞きたいことがあったんだけど」 「どうした?」 言ってから、レオニスは微かに眉根を寄せた。心なしか赤子を労るような優しい声になってしまったのを、メイに気づかれなければいいが。だが、メイはそんなことよりもレオニスの眉間の皺が気になったらしい。 「ひっどーいっ。そんなにあからさまに嫌がんなくったっていいじゃん。……あたし、邪 魔?」 「いや、大丈夫だ」 言葉の肯定として、あわてて立ち上がり、ソファを勧めてお茶を給してやる。メイはレオニスの入れた紅茶を見た途端、嬉しそうな顔になって、 「らっきー。隊長さんの淹れたお茶っておいしーのよねー」 などとはしゃぎはじめた。いつもと同じやり取りに、レオニスはそっと安堵の息を漏らす。気のせいだったのか。…ならばいいのだが。 「それで、聞きたいこととは?」 「うん。あたしの世界の物って、こっちの世界ではどれぐらい価値があるのかなぁって」 「超古代の骨董品と同じくらいだな」 答えつつも、その意図が読めずに困惑してしまう。 「じゃ、結構高く売れるんだねー」 あっけらかんと吐き出されたその言葉に、レオニスは我が耳を疑った。 「……メイ?」 「要らないもの、売っちゃおうと思って。ほら、あたしが持っているよりレオニスみたいなコレクターが持っていてくれるなら、ずっと綺麗に管理してもらえるし。あたし、壊すのうまいしねー」 「………」 無言のまま、睨むように自分を見つめる眼差しに、メイは言葉に詰まってしまう。 「……大事な思い出、ではないのか?」 彼女が、今、身につけている制服のように、向こうの世界から共に来た物たちをどれぐらい大事にしているか、レオニスは知っていた。知っているからこそ、いずれ彼女は向こうの世界へと戻っていってしまうのだと言い聞かせて自分をコントロールしてきたのに。 「…だっ…て……ッ」 言葉とともにぼろぼろと大粒の涙が零れだし、メイは堪えていたものを吐き出すかのように泣きだした。初めて目にした彼女の涙に暫し呆然とし、レオニスはその時はじめて、自分が敵に対峙している時のように恐ろしい顔つきをしていたことに気づいた。 「実験、失敗しちゃ…ってっ、キール、大怪我しちゃう…し。最近、全然…寝てない……から…っ」 顔を覆い隠しながら、メイは懸命に先を続ける。 「…だからっ、あたしっ。……『もういいよ』…って。『帰らない』って…言っちゃったのっ。そしたら、キール、すごく安心したから…」 更にぼろぼろと溢れだす涙に、白いハンカチを与え、レオニスはメイの隣に腰掛けるとその頭を胸元へ、そっと引き寄せた。 「−−泣くな、メイ」 泣きじゃくる少女を必死でなだめる。強がりの仮面を脱ぎ捨てた少女は、今にも消えてしまいそうなくらい儚げだった。これが、彼女の本性なのだ。見知らぬ国に連れてこられて心細くないわけも恐ろしくないわけもない。この腕のなかにすっぽりと納まってしまう小さな身体で、今までどれだけの虚勢を張ってきたのだろう。 「泣かないでくれ…」 ささやく声は、切実だ。メイに泣かれるとこんなに辛いとは予測しなかった。心が締めつけられるように…つらい。だが、彼女を泣かせたのは自分ではない。 彼女の本性をさらけ出したのは、研究院のあの男。それが更に心を締めつける。こんなに苦しくて、このまま腕のなかの少女を抱き壊してしまいそうな不穏な力を腕に与えている。理性でメイを壊してしまわぬように注意しながら、レオニスは彼女が泣き止むのを待った。
「ごめん、変なとこ見しちゃって」
う、うふ。………ご、こめんなさ〜〜いっ!せっかくのHP開設祝いにこんなもの送ってすみませんっ。しかもキール×メイのはずなのに、キールはどこ!?…石投げられる前に逃走します(泣)。
管理人の一言。(笑)
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