ハッピーバレンタインクリエイト

湖乃 様

ライン


1月も半ばにさしかかり、寒さが一層増してきていた。
元々倉庫であるメイの部屋は、暖房器具が入れてあるとはいえ結構寒い。しかし、少女は汗を流しながらある作業を続けていた。
「魔方陣がこうで、呪文がこれ、全て間違いなし・・・よっし!かんせー・・・はー、疲れたあ」
たかが魔方陣を描くくらい、と侮るなかれ。少女がかなりの時間を費やして完成させた魔方陣はその数、およそ十数個。なんの為の物かというと・・・。
「後は詠唱するだけね・・・・・・一気にやっつけますか!」
精神を集中させ、少女は次々と呪文を展開していく。
「出でよ、模型専門誌!出でよ、紙粘土!出でよ・・・・・・」
ぽんぽんと、自分の世界の品物を大量に召喚し終わると、少女は額の汗を手で拭った。
「はー、流石にこれだけ連続召喚すると魔法力を使うわね〜、いっこにつきひとつづつ魔方陣を作った分、多少は楽だけど・・・・・・・・・さて、と」
こきこきと首の骨をならしてから、少女は今召喚したばかりの品物を集めにかかった。
「全部は使わないだろうけどね〜あるに越した事はないし・・・・っと、これで全部かな。それに、後必要な物は、アイシュね」
何となく問題のある台詞をさらっと言うと、少女は計画に必要な最後の人物を求めて、魔法研究院を後にした。


「はあ、バレンタインですか〜・・・・それでしたら、僕がお手伝いしなくても大丈夫じゃないかと思うんですが〜〜」
「甘いわね、アイシュ。フツーのチョコレートを作ってどうするのよ」
びしっ!と人さし指を顔に突きつけられて、青年は眉を八の字にした。
「あの〜〜、普通のチョコレートを作るのが常識では〜〜〜・・・・・・あ、メイには常識は通用しないんでしたね〜」
「・・・なんか今むかつく言葉が聞こえたけど、まあ良いわ」
少女は、魔法研究院から大事に抱えてきた荷物をアイシュの執務机の上に置いた。
分厚い眼鏡を指で直しながら、青年は興味深げにそれを覗き込んだ。
「なんですか〜?これ」
えっへん、と少女が胸を張る。
「あたしの世界の物!これ、この雑誌を見て欲しいの」
「召喚したんですか〜?メイ、益々魔法力が上がってますね〜〜っと、これは〜・・・」
「色んな模型が載ってる本なんだけどね、これこれ、フィギュアってゆーんだけどさ・・・・・・作れない?材料と道具もちゃんと用意してあるから」
「作れないことはないと思いますけど〜この人形と、バレンタインとどう関係があるんですか〜?」
青年は訝しげに首を傾げた。ふふん、と得意そうに少女は腕を組んだ。
「いい?まずあたしにそっくりなフィギュアを作るわけ」
「え」
「で、それを型取りしてね」
「はあ〜?」
「チョコレートを流し込んで固めるのよ」
「・・・・・・・・・・・・あの〜〜・・・・・・・・・・・・・メイ〜?」
恐る恐る、青年は尋ねた。
「それを、まさかキールにあげるつもりですか〜?」
「キール以外の誰にあげろってのよ。アイシュ、欲しいの?」
「いぃぃぃえぇぇぇぇぇっっ!!」
ぶんぶんぶんっ!と物凄い勢いで首を振って否定する青年に、少女は肩を竦めて見せた。
「やっぱさー、キールみたいなやつにはがつんとインパクトのあるもんをあげるのが良いと思うのよね。ほら、どーせ甘いもの嫌いじゃないあいつ。フツーのチョコやったって高級なチョコやったって反応は同じだろうし、なら、いっそこーゆー方がね」
「う〜〜ん・・・一理ある様なない様な〜でもですね〜メイ〜」
「大丈夫大丈夫、アイシュには被害が及ばないようにするから」
「いえ、そうではなくて〜」
「キールの精神的衝撃についてなら後でちゃんとフォロー入れるし」
「メイ、精神的衝撃なんて言葉を使うなんて勉強している証拠ですね〜じゃ、なくて〜〜、キールにはちょっとそういった事は刺激が強いかと〜」
「アイシュ」
渋り続ける青年に、にっこりと少女は笑いかけた。その目だけが笑っていない。
「ぐだぐだ言ってると、ディアーナに、あんたがシオンに片思いしてるって言う」
本気の口調に青年は泡を食う。
「ななな、メイ!?」
「あんたとキールが近親相姦ホモだって言うのもいいかな」
「何なんですかそれは〜〜っ」
ほとんど泣きそうになっている青年に、少女は駄目押しした。
「協力してくれるわよね?アイシュ」
「・・・・・・・・・・・うう〜・・・・・・・・・・はい〜〜・・・」
「そのかわり、ちゃんとお礼するからさ」
少女はぱちん、と片目を瞑って見せた。
セリアン兄弟の受難は、まだまだ続くのであった・・・・・・・。



おまけ

「アイシュとお茶を飲めばよろしいんですの?メイ」
「うん、そーなの〜お礼するって約束だからさ、ごめん、ディアーナお願い!」
「ううん、いいですわよそれくらい」
「ほんと、ごめんね。他に本命いるのにさー」
「うふふ、私も、別に今すぐ公にしたい訳ではありませんし・・・・丁度いいですわ、アイシュが隠れみのに使えるかもしれないですわ」
「殿下対策か〜、ディアーナも大変だね」
「アイシュには少し、悪い気がいたしますけど」
「いいんじゃない?ディアーナの事好きなんだし、役に立てるならきっと嬉しいよ」
アイシュの不幸はまだまだ続く・・・・・・・・・・・・・・・。


    あとがき
    キール出ませんでした。はい。
    だから〜キルメイじゃないって言ったじゃないですか(笑)りあさん!!
    ちなみに、型取りして作った・・・という事は、あるていど量産できるんですよね
    『チョコレート製メイ人形』・・・・・・・・・・・・。

    管理人
    いいって、いいって〜。(笑)
    だって、このアイシュ可哀相なんだけど、笑えるんだもん。(こらこら)
    というわけで、きるめいキャンペーン番外編です。


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