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朝霧なつみ様

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「?」
よく見慣れた枯葉色の髪が目の端に入ったような気がして、足を止めた。
振り返ってみれば、やはりメイである。
「あいつ……何やってるんだ?」
ある一軒の店の前で、佇んでいる恋人の姿に首を傾げる。
よくよく見てみると、まるでショーウィンドウに張り付くようにして、中を覗き込んでいた。
眉を寄せて食い入るように見つめては、何度もタメ息を零す。
何をそんなに見ているのかと、メイの視線の先に目を向けた。
ショーウィンドウの中にはいかにも女の子の好みそうなアクセサリー類が細々と並んでいる。
その中で、芽衣の目を引いているのは、中央に置かれたブレスレットのようだ。
銀のチェーンに翡翠がいくつかついている、至ってシンプルなデザインのものである。
周りの事など目に入らないかのように一心にそれを見つめていたメイだったが、ひとつ盛大なタメ息を零すと、思い切るようにくるりと身を翻す。
だが。
「!! わっぷ!」
その途端に人にぶつかった。
「ご、ゴメンなさ……」
「……何をやってるんだ、お前は」
その声に顔をあげると、そこに立っていたのは自分の恋人である、緋色の魔導士キールだった。
呆れたように自分を見ている青年にメイは驚いて声をあげる。
「キ、キールっ!?」
「一体、何見てたんだよ?」
「い、いつからいたの?」
恐る恐る訊ねるメイに、キールは冷静そのものの声で答えた。
「お前が一人で百面相してた時からだよ。……で、あれか?」
ショーウィンドウに目をやり、例のブレスレットを指差した。
「……う、うん」
真っ赤になって、頷くメイ。
「……ちょっと待ってろ」
そう言うとキールはすたすたと店の中に入っていった。
突然のキールの行動に驚くメイの目の前で、ショーウィンドウの中から、先程までメイが見つめていたブレスレットが取り出される。

「……ほら」
戻ってきたキールから、メイにポンと手渡されたその包みは。
「こ、これって……!」
「欲しかったんだろ?」
照れたように頭をかきながら、そっぽを向くキールにメイはしばし呆然としていたが、嬉しそうに微笑む。
「ありがと……」

「ね、つけてもいい?」
「ああ……」
早速包みを開けて、腕に付けると上にかざしてみる。
「ふふっ♪ すっごく嬉しい。ありがとね、キール♪」
「……帰るんだろ? ほら」
素っ気ない物言いでも、キールが照れているのが手に取るようにわかる。
メイはにっこり微笑むと、キールの手を取った。
腕に付けたブレスレットが、シャラン……と鳴る。
「うん、早く帰ろっ♪」
絡められた指が温かい。
こんな何気ないことが、ものすごく幸せだと感じる。

このブレスレットに目を奪われたのは、大好きなこの人の瞳と同じ色の宝石だったから。
(まさか、キールに買って貰えるとは思わなかったけど……)
彼は気がついただろうか。
自分がこのブレスレットを選んだ本当の理由に。
大好きな、大好きの人と同じ瞳の宝石。
(キール、大好きだよ……)
心の中でそっと呟く。

繋いだ指にぎゅっと力を込めて、歩き出す。
二つの影が寄り添うようにゆらゆらと揺れていた。



    【後書き】
    また短いです(^-^;。
    ブレスレットにしたのは私が異常なほどブレスレットが好きだから(笑)。
    ただそれだけの理由です。

    【管理人】
    短くてもオッケー!!(笑)
    ブレスレットって可愛いですよね♪・・・キールに買ってもらえるなら私も欲しいわ〜。(笑)

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