夢を見た。
元の世界の…夢だった。
あたしの家族……。
「……ふぅ…」
ベッドからむくりと起き上がったメイは窓を向いてから決めるとそっと部屋を出た。
外は珍しい大雨だった。
(これなら誰かに見つからなくてすむね)
濡れるのも気にしないでメイは、自分のお気に入りの場所へと真っ直ぐ向かった。
つい今し方見た…懐かしくて…空の星より遠い…生まれ故郷。
数ヶ月前、突然異世界に飛ばされた。
周りには明るくしてるけどやっぱりもとの世界の家族や友人が懐かしい。
「あたし…帰れるのかな…」
ぽそりと洩らした言葉。
「必ず帰してやる」
いるはずもないと思ってた声にびっくりしてメイが振り返るとびしょ濡れのキールが立っていた。
「キール……」
「必ずお前を元の世界に帰してやる」
もう一度キールが言った。
―――帰したくないけど…
ずっと側にいて欲しいけど…
キールの本当の『こころ』。
「……キールが…帰してくれるもんね?約束したもんね?」
不安げにでも眩しくメイが微笑む。
「ああ……。判ったら帰るぞ。風邪でも引かれたらこっちが迷惑するからな」
気休め程度だと思っても自分の肩掛けをメイの頭に被せ、キールは踵を返した。
更に数ヶ月後、
「キール、ずっとずっと側にいてね?」
「……ああ。お前が捨てたものに負けないぐらい……」
「キールが一緒にいる事があたしの幸せだよ♪」
メイがクラインの…ワーランドの誰よりも眩しい笑顔で隣りの「大切な人」になった青年の腕に自分のを絡めて抱きついた。
夢を見た雨の日、
確かに帰りたいと思ってたけど、
大好きなあの人が側にいてくれるからもう淋しくないの。
家族がいる生まれ育った所にも帰れなくてもそれに匹敵するような……
それ以上の『幸せ』を見つけられたから。
雨の日、
まだ隠してた心は、
今、
同じ想いの…異世界の何よりも愛しい異世界の少女へ――――
|